2012年1月11日水曜日

映画 『悪魔のえじき』 これがドイツのゆるグロムービー!


※グロ注意

『悪魔のえじき ブルータル・デビル・プロジェクト』/1999/監督:アンドレアス・シュナーズ/独/カラー/2012.1.10記

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 ドイツの最低低俗鬼畜馬鹿グロ映画は天下一品だ!と思わせるアンドレアス・シュナーズ監督の自主制作映画。

 “1999年7月、3人の男たちが孤島に上陸したまま行方不明になった。その後、孤島の様子を撮影したフィルムが漂流してるのが見つかった。この映画は、傷つき、一部失われたフィルムを修復、再編集したものである。尚、当局はこのフィルムを手の込んだニセモノときめつけ、3人の男たちの捜査を打ち切った。彼らの消息はいまだに不明である。また、孤島の位置も明らかにされていない・・・。”

 このテロップから始まる本作。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」的な映画なのかと思わせるような文面だが、実は作品自体は全くそういった意図で作られていなかったりする。これは日本の配給会社が勝手に付け足したものだそうだ。何せ開始早々登場人物が引いたアングルで全員映っているし、見事にカット割もされている。場面転換もよくするし。こんな開始数秒でバレる嘘を堂々とつくというこのズッコケ体験は中々他の映画では味わえない。僕はこれを日独コラボレーションによって生み出された素晴らしいユルさとして評価したい。

 船のトラブルで孤島に漂着した男達はしょっぼいブリキの仮面をつけた集団に捕まってしまう。しかも逆らった一人は早々に殺される。彼らはマイスター親子を中心とした武装カルト教団。よそ者や反逆者は容赦がなく殺され、死体はドクター・ジニアスというマッド・サイエンティストの実験材料として弄ばれている。残りの二人と、もう一人処刑されるはずだった元教団の中国人の3人は一旦開放され、狩りの対象として面白半分にこの教団に追い掛け回されることになる。


 しかしこの3人は逃げるのではなく、組織と戦う事を決意する・・・
 ストーリーは大体こんな感じである。はっきり言ってどうでもいい。


 とにかく残虐ゴア描写の嵐。鉈で手や首が吹っ飛ぶのはもちろん、先が鉤状になっている鎖で肉やら脊椎やらを引っこ抜かれる。人体実験で腸はぐちゃぐちゃ弄られるし、戦闘中、攻撃は基本貫通するし血の量も申し分ない。ストーリー展開とあまり関係なくとにかく人体破壊映像がこれでもかと続く。これらをかなりしっかりとカメラに映している。じっくりとグロ部分を見せる映画は個人的にとても良い。(たとえチープでも)

 話が進んでくると、ドクター・ジニアスによって作られたゾンビ軍団や、忍者まで出てきてスピード感皆無のユルい、でも異様にグロい格闘戦が延々と続く。ジェイソンもどきが出るは、空飛ぶギロチンまで出るはの大盤振る舞い。ちなみに船で漂流してきた最初の2人は途中であっさり殺され、もう一人の中国人まで途中で殺されてしまい、最終的にゾンビ戦の途中で唐突に現れた中国人の仲間二人が話を収めるというフリーダムっぷりに開いた口が塞がらない。

 この通りどうしょうもない映画で、個人的には大好きだが普通の人にはとても薦めにくい映画でもある。だがこの映画からは制作者達の確かな愛というか、作品に全力投球している感があり、商業映画にはない力強さがあるのもまた
事実・・・だと思う。


 切り株映画ファン、ゲテモノスキーな方は見て損のない一本。


 ちなみに余談ではあるが、日本、イタリア、ドイツはどこも良いスプラッター映画を出している国で、僕は勝手に
『ゴアの日独伊三国同盟』と呼んでいたりする。ドイツって結構暴力表現にうるさい国だって聞いてるんだけど、
なのになんか妙にがんばっちゃうクリエイターが後を絶たないですよね。
 かえってレジスタンス精神がむくむくと沸き起こるのだろうか?




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執筆:ツン
 絵:ツン

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