2012年1月30日月曜日

映画 『チャーリー』 重力さえも乗り移ったかのようだ





 『チャーリー』/1992/監督:リチャード・アッテンボロー/米/カラー/2011.01.29記

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 時代を超えて愛される、そんな喜劇王チャップリンの自伝を下敷きとした映画。山高帽、ドタ靴、ぶっかぶかのズボンにちょび髭、直接的にせよ間接的にせよ、彼の演技を知らない人はいないと思う。そんな彼が如何にして生まれ、
そしてなぜアメリカを去ることとなったのか。そして20年後、彼を追放したアメリカのアカデミー賞特別賞に……


 主演はロバートダウニーJr、今やアメコミヒーローやイギリス紳士、シャーロック・ホームズを務める彼だが、この作品では第65回アカデミー主演男優賞ノミネートそして第46回英国アカデミー賞主演男優賞を受賞している。


 1992年は少し面白い映画事情で、1980年代後半から始まった「バックトゥザフューチャー」「バットマン」、そして「ターミネーター2」などハデなSFX映画が少し収束してきた時代だ。代わりに「JFK」「天使にラブソングを」「ボディーガード」等、演技力演出力に力を入れた作品が非常に多い。この作品も例に漏れず、ハデなCGも特撮もない。ただただ丹念に出演者の演技を計算していく、時折パロディとしてチャップリンの映画の中でも多用された早送り、巻戻しだけが使われる。これぞ正統派のフィルム映画の撮り方なのだ、と言わんばかりの演出。このこだわり方こそが、彼の生涯を描く事ができる唯一の方法だろうと私も思う。





 特にチャップリンの扮装をした時のダウニーは、まるで重力のかかり方すらも、チャップリンが乗り移ったかのようである。願わくばこのキレの時にそのままチャップリンの残したアイデアなどを映像化……は無理だったか


 ただしこの映画、残念でならないことが一つ。脇を固める出演者たち。

ダン・エイクロイド

ミラ・ジョヴォヴィッチ

アンソニー・ホプキンス

そうそうたるメンバーであるにもかかわらず、ほぼ印象に残ることがない。脇役の一人とするには皆惜しいのだが……。



 それだけ「一人の男」を主軸にブレずに作られた映画ということなのだろう。



 私はこのDVDだけでなんどでも笑うことが出来るし、また何度も泣くことが出来るのだ。





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記:ドーガマン


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