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2012年4月12日木曜日

映画 『走れメロス』 ワタクシが携わりました作品を、評価しました





 『走れメロス』/1992/監督:おおすみ正秋/日/アニメ/2012.4.01記

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 「太宰治」の超有名作を没後50年ということで製作された。誰もが知るわずか16ページの短編を、劇場にて上演するべく大胆な改変を行い、アニメーション化した作品。監督は『ルパン三世シリーズ』のおおすみ正秋。助監督兼演出を『NG騎士ラムネ&40』のねぎしひろし。作画を『人狼 JIN-ROH』の沖浦啓之。背景美術を大野広司が担当した。


 田舎から妹の婚礼用具を求め、大都市「シラクサ」にやってきた朴訥な青年「メロス」。そこで大勢の路上生活の少年たちに襲われ、あわや全財産を盗まれる所を、「セリネ(セリヌンティウス)」によって助けられ、酒を振舞われ友人となる。その後、メロスは「カリッパス」という老人そして、「セリネ」の恋人であった「ライサ」とも知り合い、「セリネ」は非凡な才能を持つ石工であったが、数年前から酒に溺れ彫刻も作らなくなったのだと聞くしかし、以前に作った王宮の彫刻の見事さを聞かされ、「メロス」の心にいたずら心が湧いてしまい……。



※原作朗読(CV:大塚明夫)


 このように、シナリオも大幅なアレンジなら、作画の沖浦啓之も負けじと「メロス」を「鼻のでかいヌボッとしたうだつの上がらない青年」しかも、一瞥するとのっぺりとした絵として描き上げた……。しかし動き始めると、奥行きのある背景とキャラクター達が重なることで俄然活き活きとする、この演出には思い切りやられた……。


 そしてキャスト。

 「メロス」:「山寺宏一」/
 「セリネ」:「小川真司」/
 「ディオニシウス2世」:「小林昭二」/

 声優としても俳優としても、錚々たるメンバーが飾っている(あえて「ライサ」は出さないw)。小話として、絵コンテ段階ではセリネが亡き養父に悔いを語る部分で「おやっさん……」になっていた。シナリオ初稿時からディオニシウス王の声は決まっていたので一人ニヤ突いていたのだが初号で台詞が替えられていたときにはショックを受けたw





 と、言うわけで、ハイ!申し訳ございません、ワタクシが携わりました作品を、評価しましたことを懺悔いたします。ですが、この作品は思い入れ以上に良作として、数十回は見直しておりますのでご容赦下さい。これにて第一回卑怯な評価を終わりたいと思います。
 

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記:ドーガマン


2012年1月30日月曜日

映画 『チャーリー』 重力さえも乗り移ったかのようだ





 『チャーリー』/1992/監督:リチャード・アッテンボロー/米/カラー/2011.01.29記

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 時代を超えて愛される、そんな喜劇王チャップリンの自伝を下敷きとした映画。山高帽、ドタ靴、ぶっかぶかのズボンにちょび髭、直接的にせよ間接的にせよ、彼の演技を知らない人はいないと思う。そんな彼が如何にして生まれ、
そしてなぜアメリカを去ることとなったのか。そして20年後、彼を追放したアメリカのアカデミー賞特別賞に……


 主演はロバートダウニーJr、今やアメコミヒーローやイギリス紳士、シャーロック・ホームズを務める彼だが、この作品では第65回アカデミー主演男優賞ノミネートそして第46回英国アカデミー賞主演男優賞を受賞している。


 1992年は少し面白い映画事情で、1980年代後半から始まった「バックトゥザフューチャー」「バットマン」、そして「ターミネーター2」などハデなSFX映画が少し収束してきた時代だ。代わりに「JFK」「天使にラブソングを」「ボディーガード」等、演技力演出力に力を入れた作品が非常に多い。この作品も例に漏れず、ハデなCGも特撮もない。ただただ丹念に出演者の演技を計算していく、時折パロディとしてチャップリンの映画の中でも多用された早送り、巻戻しだけが使われる。これぞ正統派のフィルム映画の撮り方なのだ、と言わんばかりの演出。このこだわり方こそが、彼の生涯を描く事ができる唯一の方法だろうと私も思う。





 特にチャップリンの扮装をした時のダウニーは、まるで重力のかかり方すらも、チャップリンが乗り移ったかのようである。願わくばこのキレの時にそのままチャップリンの残したアイデアなどを映像化……は無理だったか


 ただしこの映画、残念でならないことが一つ。脇を固める出演者たち。

ダン・エイクロイド

ミラ・ジョヴォヴィッチ

アンソニー・ホプキンス

そうそうたるメンバーであるにもかかわらず、ほぼ印象に残ることがない。脇役の一人とするには皆惜しいのだが……。



 それだけ「一人の男」を主軸にブレずに作られた映画ということなのだろう。



 私はこのDVDだけでなんどでも笑うことが出来るし、また何度も泣くことが出来るのだ。





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記:ドーガマン