2012年5月22日火曜日

映画 『チャイルド・プレイ/チャッキーの種』 自身をぶち壊して得た自由





 『チャイルド・プレイ/チャッキーの種』/2004/監督:ドン・マンシーニ/米/カラー/2012.5.1記

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 チャイルドプレイシリーズはチャッキーの花嫁から明らかなギャグ路線に進んだことはファンの間でも賛否分かれる所ではあるが、個人的には肯定派。三作目までの段階でホラー映画としてのマンネリ感、設定の苦しさが否めないと感じていたところに出てきた四作目の~花嫁は、見事にそこからの脱却に成功した作品である事は明白。





 三作目あたりからすでにコメディ的な部分が強くなっている気がして、でも笑っていいのかどうか微妙な雰囲気があったのですが、四作目はもう奥さんまで登場して躊躇なくコメディとして捉えていいんだという制作者と鑑賞者の双方の意思の一致を感じ、安心して見れるようになりました。


 元々チャイルドプレイと言えば殺人鬼チャールズ・リー・レイが警察の銃弾で瀕死の時、近くにあった人形にブードゥーの秘術で魂を移しなんとかその場をやり過ごし再び人間の体を手に入れるためにアンディ少年を狙う……。というのが前提の話だったのだが、三作目でそれが崩れ始め花嫁に至っては誰の体にも乗り移る事ができるブードゥーのペンダント登場でもはや自ら設定をクラッシュ。真面目さを捨てたその代わりに手に入れた自由がまた気持ちいいのなんの!


 五作目に至ってはついに子供まで登場……。しかもグッドガイ人形がまさかのメイド・イン・ジャパンであることが発覚……。その場面で流れるなんか尺八っぽい音楽。悪ふざけにもほどがある。


 子供の教育方針で夫婦喧嘩したり、チャッキーの花嫁の声を演じるジェニファー・ティリーが本人役で自虐的とも言える展開を見事に演じきっていたり、なんか間違った日本観がちらついたり、ジョン・ウォーターズやブリトニー・スピアーズが殺され、子供のために殺しをやめたいと思っても中々やめられないティファニーが電話でカウンセリングを受けたり、様々なホラー映画のパロディも盛り込んだりと大盤振る舞い。


 花嫁が作ったコメディ路線を更に突き詰めた見事な快作。『え?あのシリーズ五作目なんてあったの?』って扱いを受けているのは映画のマニアック方向性的にしょうがないかなと思う反面、ちょっともったいないなとも思ってしまいます。


 本作の公開時、人気シリーズにも関わらずミニシアター系扱いでわざわざ都内の映画館まで足を運んだ事。パンフレットが制作されていない、物販コーナーにあるグッズが全部前作の「チャッキーの花嫁」のものだったりとプッシュする気の欠片も感じない劇場の雰囲気を今でも鮮明に、さすがにもうちょい推してあげても……! と思ったものです。


 そういえばリメイクと六作目を作るそうですが、リメイクはともかく六作目の方は子供まで出しちゃったのにどうするんだろう? 孫登場? そういや、チャッキーもう新しい体に執着しなくなってきているしホントどうなるんだろう?

 
 なんにせよ観にいきますが。



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記:ツン


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