2012年3月26日月曜日

映画 『007 ゴールドフィンガー』 スパイについての認識





 『007 ゴールドフィンガー』/1993/監督:ガイ・ハミルトン/英/カラー/2012.2.16記

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 私がまだ小さい頃、外で遊べない日は『エレベーターアクション』というファミコンのソフトでよく遊んでいた。幼かった私はこのゲームの主人公が何をしているのかよくわからなく、兄に聞いても「スパイだから」としか説明されなかったので、スパイとは「屋上からマンションに侵入してエレベーターを使い、地下に停めてある車でスタイリッシュに飛び出す仕事」だと思っていた。この映画を観るまでは。





 スパイ映画の代名詞と言っても過言ではないのがこの『007シリーズ』であるが、現在までに主役である「ジェームズ・ボンド」を演じている俳優は六人いる。その中でもやはり私が推すのは初代ボンドを演じた「ショーン・コネリー」。彼の演技が後のシリーズに続く「ボンド人気」を決定的なものにしたのは言うまでもない。そしてその初代ボンドの中でも特に印象的な作品がこの『ゴールドフィンガー』である。『007シリーズ』と言えば驚くようなギミックを搭載した「ボンドカー」などの発明品が登場するが、その基盤となったのがこの作品だからであるが、何よりもインパクトが非常に強い。





 この映画ではユニークな殺人が行われるのだ。一度見れば一生記憶に残るであろうその殺人方法は、「全身に金粉を塗りたくる」というもの。字面だけでは吹き出しそうな方法だが、これにより殺された被害者はなかなかにショッキングな格好になっている。それ故に、犯人が被害者に丁寧に金粉を塗り込むシーンを想像するととてもシュールでおかしみがある。ちなみに「皮膚呼吸ができないと死ぬ」という噂はこの映画がきっかけで広まったのではと言われている。


 他にも、山高帽の縁を刃にして投擲武器として用いる敵が出てきたり、車のテールランプからオイルを撒くことで後続車をスリップさせたり、車のシフトレバーの隠しスイッチを押せば屋根が開いて助手席がポーンと飛び出したり・・・出てくるアイテムが当時画期的で、現在では漫画やゲームなどに採用されるほど面白い。





 助手席のギミックの説明をボンドが受けているシーンで、
「あぁ、どうせ助手席に乗っている女性や仲間を脱出させるために使うんだろうな」
と考えていたら見事に裏切られた時、予想を覆される楽しさを知ったのは私にとって本当に良い経験だった。


 この映画がきっかけで『007シリーズ』にどっぷりハマっていくわけだが、同時に、小学校高学年だった私はスパイについて「世界的な犯罪を防ぐために最新の科学技術を駆使して各国を飛び回りつつ美女をひっかけて実物大マリオカートを楽しむ職業」と、間違った認識をさらに深めていくことになった。
 

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記:うづき


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