2012年4月25日水曜日

映画 『マスク・オブ・ゾロ』 ヒーローの裏付け





『マスク・オブ・ゾロ』/1998/監督:マーティン・キャンベル/米/カラー/2012.4.01記

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「強きをくじき弱きを助く」のはヒーローの大原則であるが、怪傑ゾロもまたそんなヒーローの一人である。


 虐げられた人々を救うため、得意の剣術と馬術で悪に立ち向かう姿はまさに英雄。しかし富と権力に溺れる者たちから一方的にお尋ね者として首に賞金をかけられたせいでおおっぴらに動くことが出来ない上、自らを心の支えとする人々のために常に紳士たらんとすることを求められてもいる。それがゾロである。





 この映画は数ある「ゾロもの」の中でも少し変わり者で、ゾロの継承をテーマの一つに挙げている作品となっている。


 かつて敵と戦い勝利を収めたものの、代償として妻の命と娘を奪われ自身も投獄されてしまい年老いた初代ゾロと、その剣術を受け継ぎながらも心の内に潜む兄の仇への復讐心や憤りと葛藤する若き二代目ゾロとの掛け合いがこの作品の重要な部分となる。


 初めは粗野で乱暴な面が浮き彫りになる二代目ゾロだが、やがてゾロとしての風格が備わっていく。そしていざ敵地に乗り込もうとする際、初代から渡されるのは「ゾロの覆面=マスク・オブ・ゾロ」である。作品のタイトルを暗示するというのはよくあるベタなシーンだが、効果的だからこそよくあるシーンとも言える。





 この作品では二代目がゾロに相応しい実力を身に付けるための修行の様子が描かれている。キャラクターの成長に関する説得力とも言えるこの場面をきちんと表現しているからこそ初代と二代目との間に師弟関係が芽生えていくのも我々に伝わる。


 地味で目立たないシーンだが、派手なシーンばかりでは観ているこちらも飽きが来てしまう。それに気付かない作品が最近では増えているような気がするのは私だけだろうか。



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記:うづき


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